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のろまなカメ、雪山へ行く!

あたしはのろまなカメ。雪山始めて今年で4シーズン目になるわ。 皆さんはどう?雪山へ行ってる?あら、行ってないのぉ?どうしてかしら。。。もったいないわー。 そういえば、あたしも苦労したわー。怖くってねー。 それじゃあ今日は、あたしの話を聞いてくれるかしら。 カメになれば、あなたも美しき雪山の山頂に立ててよっ!


■ それはトラウマから始まった ■

山を始めて半年。カメのあたしが重たいザックを背負って山に登ると、 いつもバテてしまって、ウサギさん達についていくのがやっと。 そんなあたしが、雪山シーズンをむかえて、本当に困ったの。 だって、雪山よ!遭難とかしちゃうのよ! ただでさえバテぎみのあたしが、行けるワケがないじゃないっ。 でもあの頃のあたしはウサギさんに憧れていたの。 あたしはカメなのに、「雪山に行けるウサギ」になりたかったの。 それで、勧められるがままに赤岳登頂チームと一緒に行者小屋まで行ってみたの。 確かアイゼンは6爪だったわ。

あたし、赤岳には無雪期に一度行ったことがあるの。 岩稜帯が頂上直下にガッツリあって、臆病ながら面白みも感じたけど、 雪山であそこをアイゼンつけて登るって、どうゆうこと? それにピッケルを持ちながら、どうやってあの岩を掴んでいくのよー! おまけにアンザイレンって、危険性が高い時にみんなでつけるアレでしょ? 風がビューッとか、雪がゴーッとかきたら、どうなっちゃうのよー! ひょえ〜〜。怖いよ〜〜〜〜。そんなとこ、カメのあたしが行けるわけないよ〜〜〜。 急に雪の岩稜帯が怖くなってきたっ! 怖がりのあたしは、かくして想像上の恐怖に自らトラウマを作り、 赤岳登頂は今年の1月、雪山を始めて4シーズン目となったの。


■ やっぱりあたしはカメ。ちっちゃく一歩一歩進んだわ ■

初めての雪山、行者小屋まで行った時大変だったのは、 サックが重くて辛かった事と寒くてなかなか眠れなかったことね。 ここがテント泊の辛いところよね。でも、その他は快適だったわー。 3月のうららかな日差しを浴びて、行者から見る八ヶ岳の山々はキラキラそのものよ。 ウサギさん達が強風に吹かれながら赤岳にアタックしている間、あたしは森の中をお散歩。 リスさんや小鳥さん達がお友達になってくれたわ。 小鳥さんったら、あたしの頭の上にとまったのよ!ステキでしょ? (小鳥ちゃんのお話は本当です!何故か、人なつこい鳥で、最初はテントにとまってたんだけど、 そのうちに私の頭の上にとまったのよー!) 別に山頂まで行かなくたって、雪山は充分楽しめてよ、みなさん。 あたしわかったの。カメはカメの歩みで行けばいいのよ、って。 だから、それからのあたしは日帰りできる山中心に、雪山を楽しんだの。


■ 登ってみてわかったことはイロイロあってよ ■

雪山には雪山の歩き方があるの。きちんとリーダーに教えてもらうことよ。 できればリーダーの後ろで歩き方を見ながら行くと、お得よ! 習得できれば、体力、筋力も効率よく使えるし、安定性も安全性も高まるの。 ピッケルの使い方も学んでね。

呼吸も大事。意識して、たくさん酸素を取り入れてね。(筋肉のために、脳のために)

無雪期には石や岩がゴロゴロしている登山道も、 雪山では殆ど雪で覆い隠されているから、雪面を一歩一歩小さく、 規則正しく刻んでゆけるので、雪の道の方が実はかなり歩きやすいの。 (ラッセルの時は別。その時はみんなで頑張るのよ!)

寒くても歩き出せば、雪山だってカラダはホカホカよ。 だからウェアリングにも気を使ってね。 そして、できるだけ汗をかかないペースで歩く事がポイントよ。登りはカメのペースでね。

尻セードは巨大滑り台となって、爽快! 至仏山でのシリセードは、尾瀬ヶ原と燧ヶ岳が巨大な一枚の絵となって、 それを鑑賞しながらのミラクル尻セードとなったわ。 でも、スピードの出しすぎには要注意。ピッケルを雪面に差し込めば、セーブできてよ。
(YF注:下りだからといって、どこでも滑れるわけではありません。 雪や斜面の状態によっては危険ですので、注意が必要です)

テルモスを持ってゆけば、さむーい中でも一瞬にして心はホットに。 安心感が欲しくて、装備に余裕がある人にはオススメね。

テントはそりゃあ寒いわよ。でもね、シュラフの中にホカロンを入れれば、 なかなかどうして暖かいものよ。 バーナーをつければ、一枚脱ぎたくなるくらいテントの中は暖かくなるの。 でも、消すとすぐに寒くなっちゃうから、シュラフに入って、みんなでおしゃべりを楽しむか、 一人でオレンジの瞑想をするの。太陽の光に包まれるイメージを作るのよ。一度お試しあれ。

その他、詳しい装備や不安な事は事前に経験者に聞くといいわ。


あとは、自然からのお土産をたっぷりいただくことね。 雪山には、雪山でしかいただけないものがたくさんあってよ。 この時期特有の空の青さはあたしの好物。青というより紺に近いのよ。 見せてあげたいわー。そしてあなたは、朝日や夕日に染まる雪山を、 実際にご覧になったことがあって?カメラもいいけど、心のシャッターを押す事をオススメするわ。 空から降る雪は、冬の妖精。それもいいものよ。ロマンティックな気分にもあなたのお好みでなれるわ。 (強風の場合は除く。その場合は、別のドラマ気分をお楽しみ下さい。) どんな景色も、あなたの心をそのまま映し出して、あなたの心の琴線を響かせることまちがいなしよ。


■ 恐怖は我の心の中の幻想(トラウマが消える時) ■

入門や初級の雪山でも、それはそれで楽しめるし、 逆に自然の脅威に出会うこともあるの。勘違いしないでね、みなさん。 小さな山でも、天候が荒れれば、雪山はあたしたちを簡単に受け入れようとはしないの。 神の領域になるのね。 もちろん、これ以上は危険とリーダーが判断すれば、山を降りることになるから、大丈夫よ。 それに従ってね。

去年の3月の那須岳へ行った時の話を聞いてくれるかしら。 那須岳は風が強いところで有名なんだけど、その日はとても強い風が吹いていたの。 最初はピッケルを立てて、耐風姿勢をとっていたけど、 突風が襲ってくるとそんなんじゃ効かないので、地面に伏せながら風が通り過ぎるのを待って、 少しずつ前に進んでいったの。まるで、探検隊か陸軍兵のようになった気分だったわ。 風は一向にやむ気配がないまま、 吹き飛ばされないようになんとか登頂して、下っていく途中のこと。 あたしはその強烈な風の中にすわり込んで、じーっと風を見つめたの。 風は風そのものだったわ。 ゴーゴーと音を立てる風の中に、まったく静寂そのものの「風のいのち」を感じたの。 そこに怖さなんてなかったわ。 自然のエネルギーそのものを感じたあたしは喜びに溢れたの。 それまで強風の中、おどろおどろしい山を登っていくのは本当に怖かったのよ。 でもあたし、風のいのちを感じてから、全然怖いことなしに、山を降りてこれたのよ! とってもHappyで、それは最高の経験だったわ。


あたし、わかったの。 恐怖はあたしの想像の中で生きる幻想なんだって。 風が怖いんじゃなくて、強風にあおられて滑落する事や、 バランスが崩れたりすること、そして予測できない風のエネルギーに怖れたの。 きちんと怖れの対象を見極めれば、怖れの度合いがぐっと小さくなることがわかったわ。 怖れがあるから用心するし、それも必要ではあるわ。 でも、あたしのように必要以上に怖れると、いざという時にパニックになりかねないし、 冷静な判断ができなくなるのよ。 あせらず、あわてず、自分の目で見て、心で感じれば、 緊張感の中にも落ち着きを持って、行動ができる事を知ったわ。

■ カメで行こうよ、雪山へ! ■

それからあたしはちょっとだけ変わったの。 体力がついたこともあって、阿弥陀岳、そして赤岳にも登頂できたのよ。 三年間、想像の中でずっと怖かった岩稜帯も、一生懸命登ったら、あっという間に山頂! とっても有意義で、喜び溢れる雪山となったわ。 それに、カメはカメのままでいいっていう自信もついたし。


ねえみなさん、雪山へは小さな山から、ちょっとづつ体力をつけて、 いろんな経験をしてゆけば、どの山も楽しめると思うのよ。 あせらず、ゆっくり行きましょ!山はきっと、待っててくれるわ。 あら、まだ怖い?あたりまえよ、実際に経験していないところへ行くんですもの。 だから、自分の目で見て、感じて、確かめてみるのよ。 そして、自分の雪山を体験するの。 今度はあなたの雪山体験記を聞きたいわ。 あたし、カメだからすぐに追いつけてよ。 待ってるわ。

イティカメ・みゆき(YFメンバー)

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