(前略)・・・ 懸命に雪の斜面に取りつくこと数十分。なだらかな斜面に出るとそこはもう阿弥陀岳の頂上である。リーダが直ぐ後ろを付いてきた吾に頂上への初登頂を譲ってくれる。 意気揚揚と最高点に進みガッツポーズ。そこは正に全周が見渡せる大展望台であった。 ちょうど太陽が権現岳の肩から昇り始めて30分。南アルプス、北アルプス、秩父山塊、丹沢山塊、御坂山塊と富士山、そして八ヶ岳が朝日に浮かび上がる。どの山ももう完全な冬化粧をしていて、静寂と厳粛さをたたえて周囲を取り巻いている。 |
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頬を刺す寒風も忘れ、登頂の感激とその美しさの中の感動に、しばし至福の時間を過ごす。下山時は例の急下りで全員がザイルで繋がれるアンザイレンをすることになった。先頭二人は女性、その後ろ3人が男性、そして殿にリーダ。3−4メータ間隔でザイルを各々のハーネスに取り付けたカラビナに固定する。前続者の様子を見ながら弛ませない様に歩みを進める。全員が文字通り一蓮托生の運命共同体となる。不安感と安心感が交差する。そして誰かが滑落したら俺はこうするぞと構えつつ一歩一歩慎重に下る。それにしてもアンザイレンの安心感を初めて体験した。「皆で行けば怖くない」のそれだろうか。何とか無事に中岳のコルに到着。(中略)・・・ |
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美濃戸山荘への下りでリーダから「稲垣さん体力付きましたね」と言われた。 自分でもそう思える様になっていた。雪道での歩行技術も多少上達し、全体的に力が抜けた動きもできる様になった。帰宅後、疲れを感じるのは当然であるが、以前の様に体の節々がバリバリになることはなくなった。これも精進の賜物であろう。しかもそれをリーダに認めてもらうと更に嬉しい。こうなるとまた次なる挑戦の気持ちが湧いてくる。そう次は雪の木曾駒と宝剣岳だ。夏山でやってはいるが、雪の宝剣岳の鎖場はどんな具合なのだろうか。これまた本格的な難場であり、緊張する困難なものになるだろう。しかしケオされることなく向かって行こう。チャレンジおじさんいざ行かん! (YFメンバー) |
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