−登山について(歩き方)− 年齢、男女を問わず登山を趣味にしている方は大変多く、週末ともなると山は大勢の登山者で賑わいます。これだけ、幅広い層が楽しめるスポーツも珍しいと言えるでしょう。登山の基本は歩くことにありますから、誰でも気軽に始められるスポーツであることが人気の要因の一つであることは間違いありません。しかし、スポーツであるのですから、歩き方にも技術があります。普段、町を歩いているような感覚では、事故やトラブルを起こしかねません。ここでは、スポーツとしての山の歩き方についてお話したいと思います。登山としての歩き方には、とても重要なことが三つあります。一つ目は正しい呼吸の仕方です。二つ目に正しい体重移動の仕方。そして三つ目は一定のペース配分です。 |
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まず、呼吸についてですが、腹式呼吸でしっかりと体内に酸素を送ることが重要です。筋肉を長時間動かす場合、エネルギー源(栄養素)、水分、酸素の三つが必要となります。エネルギー源に関しては、食事による補給や筋肉の周りの脂肪から得ることができます。また、体内の水分が足りなくなれば、自然と喉が乾き水分補給をします。しかし、酸素に関しては、意識的に体内にとり込まなくてはなりません。筋肉に十分な酸素を送り込むためには、まず、血管内に酸素を送り込みます。そのために、有効なのは、肺呼吸よりも腹式呼吸なのです。オーバーペースで息があがってしまうと、苦しさから肺呼吸になりがちですので、呼吸が荒くなる前の歩き出しから、意識的に、腹式呼吸によって十分に体内に酸素を送り込むことが重要なのです。ですから、歩き出す前に準備体操をして血行を良くし、この時点から十分に酸素を送り込んでおくことがベストと言えるでしょう。 |
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次に、体重移動ですが、人間の歩き方にはニ通りあります。一つは、普段の私たちの歩き方です。これは、後の足で体重を前に押し出し、前の足で体重を引きつけ、そのまま押し出すことを繰り返して行く歩き方です。走るときも同じで、この動作を力強く行うことでスピードは増します。しかし、こんな動作を山で続けていては、どんなに体力があっても、すぐに疲れてしまいます。そこで、押し出したり、引きつけたりする力を最小限にするために、体重の移動を行い前へ進んでいくのが山での効率的な歩き方となるのです。この歩き方は、前の足に体重を移動してゆきます。歩幅が広くなると、体重を移動する際に後の足で押し出すようになり、前に述べた普段の歩き方になってしまいますので、歩幅を小さくし、前の足に体重を移動し、後の足は上げるだけにするのがコツです。この歩き方は、常に、どちらかの足に全体重が乗っている状態なので、両方の足に中途半端に体重がかかっていないことから、スリップや転倒も避けることができます。勿論、筋肉にかかる負担を最小限に押さえているので、持久力も増します。 |
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最後に、ペース配分ですが、前に述べたように体内に十分に酸素をとり込むためには、最初からハイペースで歩いてしまうと、十分な酸素を体内に送り込むことができなくなります。また、早歩きをしようと思えば、後の足でぐいぐい体重を押し出すことにもなり、結果、疲れてしまい事故の原因になります。歩き出しは、はやる気持ちを押さえて、ゆっくりと歩き、山歩きをするのに適した態勢を確実に作って行きましょう。そうすれば、何度も立ち止まったり、息が上がってしまわず、快適に心地よい歩行を長時間続けることができるのです。 歩き始めは、体力に余裕があるのでハイペースで歩き、そのうち息も上がり、休憩もしだいに回数が増え、休むたびに筋肉が冷え、よけいに疲れてしまう。そしてなんとか頂上にたどりつき、下山時には、足が棒のようになり、翌日はひどい筋肉痛になってしまう。こんな経験は誰でもあると思います。このようなことから、思わぬ事故を巻き起こさぬよう、スポーツとしての基本的な技術やテクニックを身につけて、レベルアップを図りましょう。 (YFスタッフ 永野) |